農民革命












「伊達政宗が一揆宗に破れただと?!」
 



 驚愕の知らせが甲斐に届いたのはつい先ごろのことだ。
「それは真、か。・・・・・・・・・ふむ、佐助。」
 信じられないという、お館様の言葉。
 それはこの場にいる誰しもが異を唱えることはなかろう。
 それほどまでに予想外の出来事だった。
「はいはい。わかってますよ。・・・・・・・・・奥州に行ってまいります。」

 いざ、忍参るってね。







 久々の仕事・・・・・・・・・・・・・は、いいのだが。
 イキナリの展開で驚いているのは俺も同じ。
 奥州筆頭、あの伊達政宗が農民一揆に攻め込まれ、領土を奪われるなどお天道様でも想像していなかっただろう事態だ。
 ありえねぇ、というのが一報を聞いたときの俺の正直な感想だ。
 武田軍でも誤報、あるいは策略ではないかと言う憶測さえ飛んだ。
 特に俺の直接の上司である真田の旦那はかたくなに信じようとしなかった。
 無理もないだろう。
 戦場で見えたときから、旦那は独眼龍の旦那を好敵手と見なしている。その太刀にほれ込んでいるとさえ言える。
 その彼が、農民に滅ぼされたなどと。
 信じられないだろうね、真田の旦那は。
 農民に武士の理はない。
 今の奥州がどうなっているか、かの伊達政宗がどうなっているか。
 俺にはまったく想像がつかない。
 








「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?」
 思わず叫びを上げそうになった。
 目に映ったのは、俺が予想だにしない光景。
「HEY、GUYS、飯の時間だぜ。」
「おおおおおーーーーーーーーーー!!!」
 野太い歓声をあげ、殺到する農民達。
 その先には、バカでかい鍋。おそらく芋鍋かなにかだろう。
 そしてそれをかき混ぜ微笑む質素な藍の着流し姿の奥州筆頭の姿。
 




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




 まったく想像がつかない、と言った。
 確かに言ったが、断じてこういう意味ではなかった。


 一体全体どうなっているんだ。

 
 ちなみにここは、一揆宗の本陣だ。
 まあ陣というほどちゃんとしたものではない。総大将であるいつきという少女がいる場所とでも言えばいいのか。
 とにかく一揆宗の中心地だ。
 何でそこに奥州筆頭がいるんだ。
 しかも芋鍋作ってるんだ。
 


 ありえねえ。
 何がなんだかわからねぇ。
 もういっそ見なかったことにして帰りたい。



 呆然としている俺の前で農民達が列をつくり順番待ちを始める。
「別嬪さんじゃのう。」
「兄妹揃って美人じゃ・・・・・。」
 
 なんだって?!

「すいません。」
「ん、芋鍋は順番じゃぞ。」
「横入りはいかんぞ。」
「いや、そうじゃなくて。」
 芋鍋はいいから。
 俺は甲斐でほうとう食べるから。
「なんじゃ?」
「あの、鍋作ってる人、誰ですか。」
「おめぇさん、旅の人け?」
「はあ。」
「あん人はな、いつきちゃんの兄さんじゃ。」
「なんでも病弱で、畑仕事はできんらしいんじゃが、料理上手でな。」
「おまけに別嬪さんじゃぁ。」
「おらの嫁にきてくれんかのう。」
 ほう、と悩める桃色溜息をはいてうっとりと頬を染める青年農業従事者二人。
 ていうか。




 病弱って誰のことですか。←そこつっこむところじゃないでしょ、俺。

 ありえないから。
 ありえないですから。
 刀六本持って「WAR DANCE!!」とかやってた人だぜ!?
 誰がそんな恐ろしいこと言い出したんだ。





「おい、あんた。」
「うお!!」
 ぼうっとしているうちに順番が来たらしい。
 目の前に差し出された芋鍋の入った器からいい匂いが漂ってきた。
「ほら、熱いから火傷するなよ?」
 少し首をかしげつつ笑顔でそう告げられ、再び意識が遠のきかけた。
 
 誰だ、この人。
 
本当は別人なんじゃないかとさえ少しだけ思ったが。
「GOT IT!・・次!!」




 間違いなく、ご本人様です。



 とりあえず、頬を染めて独眼龍の旦那を見つめる一揆宗にまじって芋鍋を食いながら、俺はひたすら考えた。
 


 どう報告すればいいんだ。
 






END?











一言ではない一言。


 とりあえず補足しますと、政宗様は戦闘中崖から落ちて記憶喪失。
 いつきに拾われなんだか兄妹ということにして今は農民暮らし中。
 本人はとりあえず、俺は玉杓子より重いものはもてねえ。との主張により農作業は×。
曲解されて病弱だと思われ中。ちなみにいつきは腹黒系。


 ある日他キャラプレイ中に北がピンクに染まり驚愕中にできたネタです。
怒りのメールは受け付けません。
 こんなネタで基本的状況設定である記憶喪失ネタを使うとは・・バカめ。
ちなみにこれのシリアスバージョンがあり、それを言ったら友にひかれました。
 どういう話かというと↓。













 一揆宗に攻め込まれ、戦闘中に崖から転落した政宗様は記憶を失い、倒れているうちに、軍は敗退、ついでに併発して起きたお家騒動により奥州はぐちゃぐちゃ、そこをいつきに支配されました。
 政宗様はいつきに拾われ、兄として一緒に生活。
 そのことを佐助の報告から知った幸村は政宗様を助けにいくが、記憶のない政宗様は幸村を拒否し・・・・・・・。
 みたいな、幸村男前度200%、宗さま乙女度300%、いつき鬼腹黒、怒涛の大河恋愛ドラマ、みたいな、読んでる方も書いてるほうも超疲れるどうしようもない話だ。