ラバーソウル























 青白の世界に溶け込むように、あるいは拒まれるように、彼はそこに居た。
 白い大地に身を横たえ、灰色の空を舞う雪をただ眺めていた。
 ゆっくりとゆっくりと、白はふえていく。
 とうの昔に彼の足跡は降る雪に消され、彼自身にもうっすらと雪が膜のように積もっていた。
 指先の感覚も、寒さも最早感じることなく、このままこの世界に解けていけるのならばそれもいいと、思った。
 誰のものでもないこの色。
 
 この世界。























降り立つ黒い鳥の影。

黒い、影。











「旦那」




「竜の旦那」





 困ったような声が、頭上から雪と共に降ってくる。
 目蓋を開けるのが億劫だったが、何度も繰り返されるその呼びかけに仕方なしに目を開けた。
 情けない顔をした忍が、彼を見下ろしていた。
 忍は彼が目を開けると、嬉しそうにくしゃりと笑った。










「相変わらず忍んでないな、お前。」









「この雪じゃ、ね。」







 見渡す限りの雪原に身を隠す場所はない。
 いっそ真白な忍び装束にでもすればいいのだろうが、今は忍ぶ必要はないだろう。
 この雪に、外に人影はなく。
 この雪がベールとなって覆い隠してくれる。









「独眼龍の旦那。」





 そっと彼を覗き込む忍は、ひどく静かで深遠の暗闇をも見通すような眼差しをしていた。









「苦しい恋をしているんだね。」











「・・・・・・・・・・・どうしてわかるんだ。」

























「あんたに恋をしているからです。」



















「忍べよ。」
「忍べないよ。」




 こんな雪の日は。















この雪に よく来たものと
互いに積もる 思いの深さを差してみる


 





















一言。
 ジュディマリのラバーソウルが大好きです。
 曲も好きですが、プロモもすごく良くて。
 
 今気づきましたが一応初サスダテですな・・・・。